○区長(酒井直人)
高橋かずちか議員の御質問にお答えいたします。

まず最初に、区政運営における上位理念としてのユニバーサルデザインについてでございます。施政方針説明では、多様性を認め合う地域社会の実現を目指し、男女共同参画と多文化共生を推進し、差別のない地域社会づくりを進めるとともに、多くの区民の声を反映しながらまちづくりを進めることを明らかにしております。これらの取り組みは、区政運営の基本として定められた「中野区ユニバーサルデザイン推進条例」に基づき実施していかなければならないと考えております。

次に、都市計画マスタープランと住宅マスタープランの改定についてでございます。都市計画マスタープラン及び住宅マスタープランは、区の都市計画及び住宅施策の基本的な方針を示すものであり、現在、国や東京都の示す上位計画に基づいて現状の課題整理を進めているところでございます。今後、基本構想の策定状況も踏まえて、両マスタープランの改定作業を進めてまいります。

次に、基盤整備を伴うまちづくり事業への考えということでございます。大規模な基盤整備を伴うまちづくり事業は、計画策定から事業化に至るまでの間に事前調整を含め、国や東京都はもとより、交通管理者や施設管理者など、多くの関係機関との協議・調整を経て進められていることは承知しております。新しい基本構想策定に向けては、このような事業の重要性についても十分踏まえながら慎重に対応してまいります。

次に、東中野駅周辺のまちづくりについて御質問いただきました。東中野駅東口周辺は、駅舎や周辺の地形的要因によりバリアフリー化が進んでいないこと、そして西口との回遊性など、まちづくりの課題があると認識しております。今後は、地域の意見や要望を検討できる場を設けるとともに、西口を含めた駅周辺の回遊性も視野に、JRとも具体的な意見交換、協議を進め、交流拠点にふさわしいまちづくりへの取り組みを進めていきたいと考えております。

次に、都市観光施策について、哲学堂公園のこれまでの管理についてでございます。哲学堂公園は東京都の指定文化財であり、その価値を高め活用することが重要であるということから、平成23年度に、学識者や区民委員らで構成する検討委員会で「哲学堂公園保存管理計画」を策定しまして、古建築物の大規模修繕や学習展示室などの整備による文化財活用の取り組みを進めてきたところで現在に至っております。

哲学堂公園の国の名勝指定についてでございます。現在、哲学堂公園は東京都の指定文化財であり、哲学の世界を視覚的に表現した世界的にも珍しい公園であることから、その価値をさらに高めていくことが重要であると考えております。今後、哲学堂公園再生整備計画のスケジュール等を勘案しながら、国の名勝指定を受けることについても検討を進めてまいります。

次に、みずのとう公園についてでございます。旧野方配水塔は国の登録有形文化財に指定されており、文化財的価値の保護・活用が求められております。また、東京都の公共事業の景観づくり指針においても、景観的に重要な保全・活用の対象施設に当たるため、哲学堂公園と連携して、文化財的価値を高めながら有効に活用することが必要であると認識しております。補助26号の拡幅による公園への影響でございますが、みずのとう公園は地域コミュニティや地域防災活動の場として貴重な役割を果たしていることは認識しております。旧野方配水塔を生かしたまちづくりなどの取り組みにより、隣接する都有地に継続して協力を求めながら、街路事業後も必要な公園機能が提供できるような方策を検討してまいります。

次に、哲学堂公園を中心とした面的な観光政策についてでございます。中野駅から哲学堂公園周辺にかけてのエリアは、中野の歴史に触れることのできる歴史民俗資料館、歴史ある寺社仏閣、哲学堂のような他に例のない特徴的な公園など文化的な視点からも見所のある地域であると認識しております。この間、当該エリアにおいては地域の商店街が文化的資源を活用した地域活性化の取り組みを企画しており、区としてもこの取り組みへの支援を行っているところでございます。今後、区は商店街や地域団体との幅広い協力関係を築き、区内外の人々が楽しんでまち歩きができるような取り組みを支援するとともに、情報発信を行うなど、哲学堂公園を中心とした面的な観光政策を展開してまいりたいと考えております。

次に、中野駅周辺まちづくりについて、まずはアリーナ整備の意義についてでございます。中野駅周辺は中野の顔であり、集客によるにぎわいと、それに伴う地域経済の活性化を図っていくことが求められていると認識しております。中野四季の都市(まち)の開発によってより多くの集客を得ましたが、今後のまちづくりにおいても、中野のまちの魅力をさらに発信していくことが必要であると考えております。その中核となる施設としてアリーナがよいのかどうかについて、改めて区民の声を聞いてまいりたいと考えております。

次に、アリーナ協議会による検討についてでございます。中野駅新北口駅前エリアアリーナ整備官民連携協議会の報告書によると、「音楽、アート」などの興行とともに、これまでになかった「観るスポーツ」を両立させ、劇場型・体育館型双方の利点を取り入れた「スポーツとカルチャーが融合するアリーナ」というものが提案されております。このアリーナの興行の検証についてでございます。中野駅新北口駅前エリアアリーナ整備官民連携協議会には、学識経験者のほか、コンサートプロモーターやプロスポーツ団体など専門的知見を有する委員も加わって、実際の興行の成立性や経済効果などを議論していただきました。報告書によると、本アリーナは最大収容人数1万人としているが、実際は、コンテンツによって、4,000人程度から1万人程度の幅で使われることが想定されるとされまして、実例に合わせた検討がなされていると認識しております。

このアリーナを起点としたまちづくりについてでございます。今後のまちづくりにおいては、さらなるにぎわい創出が必要であると考えますが、アリーナに限らず商業機能の拡充やオープンスペースの活用など、どのような機能を複合させることが有効なのか、ふだんから中野のまちで過ごしている人々の視点を十分に取り込んでいきたいと考えております。

次に、アリーナの事業主体についてでございます。施政方針説明においては、1万人のアリーナの整備・運営に伴うさまざまなリスクや区の将来負担についてもシミュレーションをしてお示ししますと述べたところでございます。アリーナを整備する場合の考え方については検討してまいりたいと思います。

次に、再開発への区の関与についてでございます。平成28年4月に策定した「区役所・サンプラザ地区再整備実施方針」において、区は地区全体の機能向上を図り、グローバルな都市活動拠点を形成するとともに、区有地を適切に活用することを目的として再整備事業に関与するとしております。再整備事業に当たっては民間活力を活用していく考えでございますが、周辺一帯のまちづくりを進める観点から、区の主体的な関与が不可欠であると考えております。

次に、アリーナの検証について、対象は何かという御質問でございます。区では今後、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画を策定することとなりますが、具体的な事業化の段階に入る前に、大規模集客交流施設については複数の案を提案するなどして、改めて区民の声を聞きながら集中的に議論を行いたいと考えております。

次に、区民会議についてでございます。検証に係る会議体についてはさまざまな手法が考えられる中、できるだけ早期に議論を始められるよう、この「区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議」を活用する方向で考えております。

次に、南北通路、橋上駅舎、駅前広場整備の重要性についてでございます。区とJR東日本では、南北通路、橋上駅舎のできるだけ早期の開業を目指して事業を進めており、現在、準備工事である支障移転工事等に秋ごろから着手できるよう協議、調整を進めているところでございます。中野駅新北口駅前エリアの都市計画変更や事業の成立性については、サンプラザの今後のあり方についての議論を踏まえて進めることとなりますが、南北通路、橋上駅舎の事業計画や整備スケジュールに影響を及ぼすことのないよう適切に判断して進めてまいります。

まちづくり協議体の性格と区とのかかわりについてでございます。まちづくり協議体は、中野駅周辺地域の区民や商店街、各地域のエリアマネジメント団体等の団体、地権者、開発事業者等が地域のにぎわい創出や、価値向上に係る事項について情報交換や話し合いを行う場として区が主体となって設置するものと考えております。

次に、この協議体とエリアマネジメントの関係についてでございます。エリアマネジメントは、地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための住民、事業主、地権者等による主体的な取り組みを行う団体と考えております。まちづくり協議体は、これら各地域のエリアマネジメント団体に加えて、商店街などを構成メンバーとして相互の情報共有や話し合い、相互調整を行うことを想定しております。そのほか、まちづくり協議体の具体的な構成メンバーは今後検討してまいります。

設立予定の法人と協議体の違いについてでございます。これまで区が設立を想定していた法人は、区と民間事業者等が協力し、理事会など運営組織や規約の整備を行い、事業、契約の主体となって、区のにぎわい創出や情報発信事業など、規約に基づいた幅広い活動を行うものとして想定してまいりました。一方、いわゆる協議体は、情報共有などの話し合いや相互の連携を目的とした動きをつくるためのものであって、区が運営主体となって会議を主催するものを想定してございます。

○都市基盤部長(豊川士朗)
私からは、防災・減災まちづくりについてのうち、所管分についてお答えをいたします。

まず、耐震助成の補助要件と実績等についてでございます。現在、区の耐震助成ですが、特定及び一般の緊急輸送道路沿道の建築物に対して行っておりまして、住宅の耐震改修工事については助成を行ってございません。この補助要件といたしましては、原則、特定・一般にかかわらず住民税または法人住民税等を滞納していないこと、既存建築物に係る固定資産税を滞納していないことの2点でございますが、このほかにも建物に対する要件が規定をされてございます。また、住宅の耐震改修助成の近隣区の平成29年度における実績状況でございますが、練馬区が25件、豊島区が4件、板橋区が16件などでございます。

それから、中野区内で旧耐震木造住宅を建てかえるための建築確認申請は年間800棟前後でございまして、この中には住宅の耐震診断の結果を受けて建てかえしている案件もございます。現在は建てかえを主体とした安全確保に向けた取り組みを進めているところでございますが、今後は建てかえ等が困難な建物に対する支援のあり方を検討することで一定の成果を上げたいと考えているところでございます。

それから、既存の防災まちづくりと木造住宅耐震助成との関係についてでございます。区では木造住宅密集地域の改善に向けては、東京都の防災都市づくり推進計画に示されます安全なまちの指針である不燃領域率70%を達成目標といたしまして、避難道路ネットワークの形成、不燃建築物への建てかえ促進など、原則として地区計画に基づく安全なまちの形成を目指した面的な整備を進めているところでございまして、ユニバーサルデザインの考え方も当然取り入れるものでございます。一方、いつ起こるかわからない首都直下地震に備えまして、区民の生命を守るため、緊急避難的に耐震助成を行う必要があると考えてございます。建てかえが困難な住宅に関しましては住宅の耐震改修を支援し、建物倒壊による人的被害等の軽減に努めてまいりたいと考えてございます。

○地域まちづくり推進部長(角秀行)
私からは、防災まちづくりの進め方について答弁させていただきます。

地域まちづくり推進部は、都市基盤整備やまちの防災性向上などの施策について、区内全域を一体的に監理することで全体の整合を図り、課題の早期発見と解決策の早期形成に結びつけることで、より高度なまちづくりを推進していくために創設された組織であります。ただいま議員から江古田三丁目での取り組みについて御指摘をいただいた視点につきましても、今後、各地域において新たな防災まちづくりを進めていく上で有効に生かしていけるよう検討してまいります。

○11番(高橋かずちか)
1点だけ、時間がないので再質問させていただきます。

中野駅周辺の検証委員会のところで区長がコメントされておりましたけれども、お聞きしたかったのは、要は、事業を、いわゆる区が権原を持っているということで、新区役所庁舎も建設するということになると、全ての事業が一つのパッケージになっていて全部つながっているということがあります。それともう一つは、都市計画の面からも全ての計画がつながっている。例えば、都市計画がおくれれば、JRの駅ビル用に用意している広場側の荷さばき施設の設計を、都市計画が変わればやり直さなきゃいけなくなると。そうなったときにはJRとの信頼関係もなくなるし、JRはもう一回駅ビル関係の設計をやり直さなければいけなくなる。こうしたことになったときには、もうJRが本当にこのまちづくりに参画していくのかとか、あるいは都市計画の全体のスケジュールがおくれたときには、民間のデベロッパーとかがこの中野を相手にしてくれなくなるんじゃないかと、そういう非常に心配を持っておりまして、もう一度確認ですけれども、区長がこだわられるその検証委員会での検証、また、そこでいろいろ議論をして結論を出す、議論をするという話、先ほど出ましたけれども、都市計画がおくれる、そしてそのJRとの緊密なというか、本当に微妙な、工程も含めて、スケジュールも含めての微妙な調整には影響が出ないで済むのかというところであります。

今、工事は具体的にちゃんと進んでいますけども、それは今まで信頼関係の中で多少見切り的に先を読んで進んでいるところもあるんじゃないかと思うんですけども、ここで大きく見直す、検証するということになったときに、相手の受け取り方も変わってくると思うので、本当にその都市計画がずれることは間違ってもないのか。そして設計協議に支障を来すことがないのか、その辺だけお聞きして再質問といたします。

○区長(酒井直人)
高橋かずちか議員からの再質問にお答えします。

このまちづくりの進展について、今後の都市計画の影響がないよう集中的に議論をしていく、説明をしていくということで変わりはございません。

また、JRやその他デベロッパー等とのコミュニケーションもしっかりとりながら影響がないように努めてまいりたいと考えております。

○副議長(南かつひこ)
以上で高橋かずちか議員の質問は終わります。