一般質問議事録は「なかの区議会WEBサイト」で公開している議事会議録より、高橋かずちかの発言部分のみを引用し掲載しています。詳細はリンク先の議事録をご確認下さい。

なかの区議会会議録一覧より
「平成23年12月5日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録」
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中野区議会議員 高 橋 かずちか

  1. 子育て支援施策の根幹をなす幼児教育と保育の役割について
  2. 首都直下地震に備えた防災対策について
  3. その他

○議長(大内しんご) 次に、高橋かずちか議員。

〔高橋かずちか議員登壇〕

○2番(高橋かずちか) このたび平成23年第4回定例会に当たりまして、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。

それでは、事前通告の内容に従いまして質問をさせていただきます。
なお、その他の項目はございません。よろしくお願いいたします。

まず初めの項目です。子育て支援施策の根幹をなす幼児教育と保育の役割について質問いたします。

私たちは、次代を担う子どもたちのために最も大切な教育の場と子育て環境を子どもの視点に立ってつくり上げていかなくてはいけない。こうした観点から、私は幼児教育、保育環境にかかわる事項について質問をし、後に初等・中等教育について質問する同僚の若林しげお議員にバトンタッチしてまいりたいと思います。

日本における幼児教育、保育をめぐる環境は大きく変わりつつあります。その大きな要因として少子化、核家族化、都市化、また、女性の社会進出拡大などが挙げられます。社会状況の変化に子どもたちが巻き込まれていると言っても過言ではありません。子ども期にふさわしい社会経験や生活体験が得られにくくなってきているのです。同時に、閉ざされた子育て環境の中、保護者たちもストレスを抱え、苦悩し、子育てに喜びを見出せなくなっている御家庭も増えてきているという話を耳にします。「三つ子の魂百まで」、このことわざが示すように、乳児期、幼児期は生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期であります。この大切な時期の育ちを支えるために大きな役割を果たすものが家庭であり、園など学校や保育施設であり、地域社会であります。

まずは、国が現在推し進める幼児施策について触れてまいります。皆様御承知のとおり、現在の就学前児童の子育て体制は、幼稚園と保育所と認定こども園というように、所管省庁も文部科学省、厚生省に分かれ、目的も教育、保育と異なり、対象児童、施設、人員などの基準も異なる二元体制で進められてきました。

自由民主党はこうした中、社会環境の変化とともに、子どもは同じ内容の幼児教育及び保育を受けることが望ましいとの考えから、認定こども園制度を創設いたしました。しかし、幼児教育の強化につきましては道まだ半ばでありました。幼児教育施設を国家戦略として位置付け、すべての子どもが十分な幼児教育を受ける機会が実質的に保障されるように、「教育はまず家庭から」を基本理念として、保育園、幼稚園の幼児教育機能の充実と親子支援を図ってまいりました。その後、政権交代後の新たな少子化社会対策大綱として「子ども・子育てビジョン」が閣議決定され、本年7月に子ども・子育て新システムに関する中間取りまとめが示されました。さかのぼることおよそ2年、民主党は当時「マニフェスト2009」に縦割り行政の象徴として子どもに関する施策の一本化をうたい、「幼保一体化を含めた保育分野の制度・規制改革」が掲げられました。

このような経過でまとめられた子ども・子育て新システムを見てみますと、その目的として主に四つの大きな項目が示されております。第1に、すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子どもを大切にする社会、そして第2に、出産、子育て、就労の希望がかなう社会、第3に、仕事と家庭の両立支援で充実した生活ができる社会、第4に、新しい雇用の創出と女性の就業促進で活力ある社会を実現、このようになっております。いずれも非常に大切で、まさに取り組むべき課題ではございますけれども、一つ一番大切な言葉が欠けていると思っております。それが「教育」「幼児教育」であります。教育が社会にとっていかに重要であるか。それは、近年の我が国経済、社会情勢の悪化に呼応するかのように蔓延していた自信喪失、閉塞感の広がり、倫理観や社会的使命感の喪失、このような国家危機を打開するために改正された教育基本法の基本精神にも一目瞭然うたわれております。そこには21世紀を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成を目指すために、教育の重要性と目標が高らかに示されております。

そこでお尋ねをいたします。国家の根幹をなし発展につながる教育、家庭教育を中心とした幼児教育に重きを置いていない子ども・子育て新システム、及び、いわゆる現政権が推し進める幼保一体化には慎重であるべきと考えますが、区の見解をお伺いしたいと思います。

子どもが幼児期を家庭で過ごし、家庭で育てられるという事実は、幼児期の教育が家庭で行われるということであり、人としての素養や性格の基礎が家庭でつくられることになります。これは女性の就労、社会参加が進展しても変わらない事実であります。一方で、家庭だけでは子どもに対して豊かで多様な環境を用意することが十分ではありません。家庭を超えて社会、すなわち同世代の子どもや異なる年齢の子どもたちが自由につくる集団、これらに触れて成長していかなければいけないと考えます。この重要な子どもの成長に関する幼児教育について、幾つかの懸念材料が見受けられます。その中の一つで注目すべきは、家庭の教育力、子育て力の低下が見られるということであります。

そこでお尋ねをいたします。中野区では、女性の就労や社会進出の度合いとは異なる、子どもの成長に不可欠かつ最も重要なこうした家庭教育の重要性についてどのようにお考えでしょうか。また、家庭教育を幼児教育においてどのように位置付け担保していくのか、取り組み姿勢とその方策についてお尋ねをいたします。

家庭での教育を基本とした中野区の幼児教育、幼稚園教育の歴史は大正12年に始まると聞いております。現在都内屈指の連携と、その幼児教育の実践を行う中野区私立幼稚園連合会のスタートから65年が経過し、先日そのお披露目があったことは記憶に新しいところでございます。平成21年に改正された教育基本法で、幼児期の教育として初めて幼稚園教育が位置付けられ、同年改正の学校教育法で、幼稚園が学校教育の最初の段階として明確化されたことなど、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性が改めて認識されております。中野区の子育て施策については、幼児教育を進める幼稚園は私立幼稚園が担い、保育所の整備は中野区が行うという歴史的経緯があり、それが現在の幼児教育の充実と、幼稚園間のみならず保育園、幼稚園、小学校との連携という、他区に先駆けての事例と活動実績につながっているということであります。

そこで区長にお伺いをいたします。中野区は幼児教育をどのようにとらえ、区の長期計画や教育行政にその取り組みを進めていこうとされているのでしょうか。また、こうした中野区における私立幼稚園の歴史的経緯を踏まえて、中野区は今後幼児教育の中心的役割を果たしている私立幼稚園と保育関連施設との連携についてどのような方針で取り組まれるのでしょうか、お伺いをいたします。
次に、中野区の保育の現状についてお尋ねしてまいります。現在の経済状況と、国が推進する女性就労促進の動きからしましても、少子化が進んでいるとはいえ、昨今の待機児童問題がさらに進んでいくことと考えますが、区はそれに対してどのように取り組んでいくのか、基本方針をお伺いします。

現在、区内に37カ所の保育所がありますが、待機児童に関しては現在どのような状況になっているのでしょうか。また、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)では、区立保育園を民営化しながら建てかえを推進するとありますが、具体的な待機児童数の減少目標と進捗状況について、あわせてお示しをいただきたい。

近年の保育所事情を伺ってみますと、その事業の中に地域相談活動が盛り込まれたり、また、一時保育や地域子育て支援センター事業など、入所以外の在宅児も対象にされた事業が保育所活動の重要な部分を占めるようになり、保育時間や利用理由など、従来の保育所の入所児と異質な家庭環境の子どもたちが増えております。また、保育園、幼稚園と小学校との教育連携が叫ばれる昨今、その保育所における保育は家庭養育の延長が基本ではありますが、教育に関しては幼稚園教育要領に準じた取り組みを求められ、さらに保護者の教育に関する関心と希望が深まるなど、保育所に求められるものが拡大して、保育に携わる保育士や運営側には幅広い専門性が求められるようになってきております。

そこでお伺いします。こうした保育の質とその向上について、人材育成や採用に関してのお考えをお伺いします。また、区は今後こうした保育所施設に対してどのようにかかわっていくのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

この項の最後に、私立幼稚園による預かり保育について述べさせていただきます。今後さらに進むであろう女性の社会進出など社会情勢の変化をかんがみますと、待機児童解消策が急務であることは明白であります。保育所の整備は無論必須でありますが、一方で、幼児教育の現場である幼稚園もその社会ニーズに対応せざるを得ない状況に来ていることは間違いありません。しかし、現在政府が進める一体化論は、弾力化や規制緩和などに着眼し、幼稚園と保育所の基準を単純比較して低い基準に画一的に統一するという手法であります。これでは幼稚園、保育所の特性や地域性を無視し、多様なニーズに対して画一的基準で対応し、結果子育ての質を下げていくことにほかなりません。また、幼稚園と保育所を短時間保育、長時間保育という保育実態で見た場合、親の就労の有無によってそのあり方は大きく変わってきます。子どもにとっては家庭での育児環境が大きく影響しています。その違いをとらえ、社会環境への対応力が未成熟な子どもの家庭育児の違いを踏まえた多様な形態の保育施設があるべきだと考えます。

そこでお尋ねをいたします。私立幼稚園として長時間の預かり保育を導入する場合に発生する一律長時間保育導入の難しさや、人材確保とそれに伴うコスト、施設整備における問題など、幼稚園ごとの事情を考え、個別の園ごとに子育てにおける保護者支援強化に対応するのが実効性があると考えますが、区の見解をお聞かせください。

あわせて、幼稚園が子育て支援とその保護者支援策に対応する場合、保育実態が幼稚園と保育では異なり、保育者側の体制も異なり、増強が必要になるなど、機能を確保するための施設改修や新設が必要になってくるケースも考えられます。こうした場合の施設整備に係る補助については、区はどのようなお考えをお持ちでしょうか、お答えを願います。

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