2番目といたしまして、都市観光施策についてお聞きします。

区長の施政方針説明には、哲学堂の利活用のビジョンをもう一度立ちどまって議論し、計画予定施設の必要性や規模について見直す旨の記述がございます。哲学堂が中野区の所有する重要な文化財施設であり、それに連続して続く旧野方配水塔は国の登録文化財であることから、哲学堂公園一帯が都市観光の重要なポイントであるという視点から幾つか伺います。

中野区で平成24年6月策定の「中野区都市観光ビジョン」には、取り組みの3本柱の一つに、観光資源の発掘・開発が挙げられるなど、中野区のさまざまな地域資源を発掘し、これを磨き上げ、活用する姿勢が見られます。区におけるさまざまな地域資源のうちの一つに歴史的地域資源があります。歴史的資源の磨き上げ、発信事業として、区は平成29年3月に「哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画」を策定し、哲学堂公園・旧野方配水塔の歴史的、文化的価値を高め、これらを核とする観光拠点形成を目指すとしております。

哲学堂公園は皆様御存じのとおり、区民やたくさんの方々に親しまれる公園であるとともに、文化財としての価値も高いものであります。公園そのものが東京都の指定文化財になっており、哲学堂の建造物も区の指定有形文化財となっており、区では国の名勝指定を目指すという考え方も示されていたかに認識しております。そのような文化財として価値の高い哲学堂公園について、これまで区はその管理者としての責務をしっかり果たしてきたのでしょうか。実際に哲学堂公園に行ってみますと、古い建築物はところどころ老朽化が激しく、区はその修復に今取り組んでいるところであります。また、公園内に点在するモニュメントについては、壊れたり欠けてしまったりするものがあるのも現状です。園路を歩いてみると、路面が荒れてしまっているところや水はけが非常に悪いまま放置されています。雨の日に行けば、起伏のある土地のため高台に降った雨が園路に流れ込み、滝のような状態になったり、低地に巨大な水たまりが大きくでき上がり歩くのも難しい状況であって、これまでの管理状況が不十分であったと感じざるを得ません。そこでお聞きします。貴重な文化財である哲学堂公園について、区はこれまで当該施設をどのように管理し、改善し、現在に至ってきたのでしょうか、教えてください。

地域資源の発掘や活用、観光拠点化など、区の地域資源の価値を高め、区内外、国内外に情報発信を行うことで、区民の方々にもっと誇りを持ってもらったり、来街者を招いたりするという方針に異論はありませんが、そのような地域資源の発掘や活用などを標榜する前に、区が所有する貴重な地域資源をしっかりと管理をして保存をしていく、修復をしていくということがまず大前提だと思っています。公園としての管理を行き届かせ、園路の改修、樹木の管理を適正に行い、建築物の改修を進め、哲学堂公園を当初の姿に戻し再生することができれば、公園は本来の魅力を取り戻し、これまで以上にたくさんの方々に愛され、訪れられる公園となるのではないでしょうか。

また、区長は、建設予定であった学習展示施設の建築の見直しを考えているということでございますが、これまで区は国の名勝を目指すという考えを示してございました。先ほど申し上げたとおり、区が公園の管理、保存を適正に行い、再生整備を行った上で、国の名勝に指定されることとなれば公園としての価値も飛躍するのではないかと考えています。そこでお聞きします。哲学堂公園についての国の名勝指定を目指す取り組みについて、区長はどのようにお考えか、先ほども御答弁されておりますけれども、お示しをいただきたいと思います。

哲学堂再生整備計画においては、みずのとう公園整備計画についても触れております。旧野方配水塔は、近代水道事業の歴史を示す近代土木資産であり、国の登録有形文化財でもあります。特徴的な意匠とともに地域のランドマークとして愛されているものであります。当該計画については、補助26号整備にあわせた配水塔の整備や公園用地拡張などの施策が定められております。配水塔は、哲学堂公園と連携することが来街者を呼び込み観光ネットワークを強化することのできる貴重な地域資源であると考えます。

また、地元地域にとっては、当該公園は地域の防災活動や地域行事の拠点となっており、都道補助26号の拡幅により削られる敷地の拡張とセットである再整備は、地域生活にとりまして最重要課題であります。そこでお聞きします。みずのとう公園整備計画で描いた旧野方配水塔の整備、また、みずのとう公園用地拡張の取り組みを今後どのようにするのか区長のお考えをお示しください。

区が策定した整備計画は、区においてほとんど初めてに近い、哲学堂公園を中心とした中野駅から哲学堂公園にかけてのゾーンを指定し、観光ネットワークを形成する観光計画であります。中野駅から中野通りを通り、哲学堂公園に向かうこのゾーンは、サンモールからブロードウェイ、新井薬師周辺の商業集積があり、その先には歴史民俗資料館などの区有施設、さらには拡幅が計画されている沼袋の商店街、そして駅を南に越えれば新体育館と回遊でき、このルートは寺社仏閣など多くの歴史的資源がある非常に個性的な地域ゾーンでもあります。哲学堂公園を適正に維持管理・保存し、再整備を行っていくこと、また、旧野方配水塔を中心とした再整備を行っていくこと、これらの再整備事業を進めるとともに、地域資源をネットワーク化する周辺道路を再整備し、ネットワーク化することにより、国の貴重な観光ゾーンとして発信していくことが可能であると思っていますが、そこで区長は、この哲学堂公園を中心とした面的観光拠点政策についてどう評価し、今後どう取り組むのかお聞きをいたします。

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