次に、ユニバーサルデザインについて質問させていただきます。

ユニバーサルデザインはコンセプトであり、まちづくりの理念です。一番のポイントは企画段階から取り込まないと具現化できないという点にあります。完成後の再整備では膨大なコストがかかり、そして多重構造や不具合が生じて、結果、利用されない施設になるということです。私はこれからの超高齢化社会に必須のキーワードは「自分自身で」という言葉だと考えております。この言葉を入れてユニバーサルデザインを自分なりにまとめてみますと、「だれでも」、「いつでも」、「自分自身で」、「安全に」ということになります。高齢者、障害者が何をするにも介護者に依存しなければできないのではなくて、自分のやりたいことが自分自身で、自分のしたいときにできる社会こそがユニバーサルデザインの社会であり、少子高齢化社会の目指す姿ではないでしょうか。まちづくりにそのようなユニバーサルデザインを取り入れれば、自由にそこに出かけ、にぎわいをみずからつくり出し、消費者となる。地域は活性化し、本人の介護予防や介護軽減にもつながります。高齢者や障害者にとって生活しやすい町は、キャスターバッグやスーツケースを持った健常者、妊婦さん、ベビーカー、そしてお子さん、けがをしている人、疲れている人、そうしたすべての区民にとって住みやすい町、生活しやすい町になります。

そこで質問いたします。中野区は、駅とそこをつなぐ動線の整備にこうしたユニバーサルデザインの理念を企画設計する前段階から生かし、さらに具体化、推進することについてどのようにお考えをお持ちでしょうか。また、スロープの傾斜角度のさらなる改善など、東京都福祉まちづくり条例に基づく、いわゆる施設設計のバイブルと言われています施設整備マニュアルにもある設計数値をさらに踏み込み、真の万人に利用されるユニバーサルデザインの実現を推進するお考えはおありでしょうか、お答えください。

障害者の団体の中には、「日本身体障害者社会人協会」という勤労者を中心とする障害者団体があります。彼らの注目すべき発言を一つ御紹介します。

欧米がなぜ障害者にとって住みやすく、社会参加が容易か。それは、政策の方向性が助成ではなく平等なチャンスと自立を目指しているからである。行政も企業もチャリティーとしてではなく消費者、納税者としてとらえている。だから、インフラも整備されるし、障害者向け製品の開発や雇用の促進にもつながるのだ。私たちは権利を要求し援助や支援を求めているのではない。しっかり稼いでいるし、納税もしている。さらに働きやすいように、消費者として自由に町に出かけられるように、そのインフラを整えてほしい。

以上の言葉であります。彼らは、勤労・納税を義務と果たしながら働く障害者の社会環境を改善していこうと、バリアフリーからユニバーサルデザインへの具体的提言もする団体であります。 そこで、質問をいたします。中野区が取り組む駅整備を中心としたまちづくりの企画段階に、こうした納税者、消費者として社会進出を目指す障害者団体の意見をヒアリングしたり、またこうした団体をはじめ、高齢者や子育て世代などにも参加を呼びかけ、協議体等をつくり、実地踏査をするなどして、その意見をまちづくりに生かす具体的取り組みについてどのようにお考えか、お答えください。

5ページ目:中野駅周辺地区整備に係る動線の確保と活性化策について