〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 高橋議員の御質問にお答えをいたします。

まず、景観まちづくりについて。中野駅地区における景観施策についてであります。中野駅地区第1期整備に当たっては、学識経験者、東京都、中野区等からなる中野駅地区整備・景観等検討会を設置し、中野駅前4地区の各駅前広場の景観形成の基本方針、景観コンセプトを検討するとともに、現北口駅前広場空間のあり方の検討を行ったところです。現北口駅前広場東西連絡路は、検討の成果としての現北口駅前広場景観整備の考え方に基づいて、中野らしいにぎわい創出拠点空間の形成として車道空間と広場空間の一体感の形成や広場通路上の上屋、シェルターですね。上屋デザインの調和等に配慮し整備を実施したところであります。

中野四季の都市(まち)の景観検討について。警察大学校等跡地の開発は、地区全体での一体的な開発整備を目的として、国から開発事業者が土地を取得する前に再開発等促進区を定める地区計画の主要な内容を決定しております。この地区計画では、都の制度運用上、建築物整備に際して都の景観計画に従った事前協議が義務付けられており、各開発事業者は、区域全体の景観に配慮しながら、建築計画をまとめていったものです。建築計画をまとめるに当たっては、区が主体となって民間事業者等と開発協議会を設置し、開発事業にかかわるさまざまな調整を行っており、景観に関しても基本方針や配慮すべきポイント等の協議を行ったところです。具体的には、地区の一体的でより良好な景観形成、地区全体としての空間の質を向上させるという観点から、区や開発事業者が連携して取り組むべき自主的ルールとして、警察大学校等跡地地区景観形成ガイドラインを策定し、これに即して建築、空間整備を行ったものであります。

景観法と景観行政団体について。景観行政については、それまで各自治体が独自条例を制定して対応してきたところですが、これには強制力がなく、実効性に課題がありました。そこで、平成16年に景観法が制定され、一定の法的拘束力を持たせるとともに、地域の実情に応じて規制内容等を柔軟に定められるようにしたものであります。具体的には、景観法に基づいて、区は都知事との協議、同意を経て、景観行政団体に移行し、景観計画を区が独自に定めることにより、建物のデザインや色の規制など景観施策に主体的に取り組むことが可能となります。景観に関する施策について、区が活用可能な国や都の助成金の制度は特に設けられていませんが、景観法の活用と他の都市計画手法の組み合わせによって、区における都市計画行政の自由度やまちづくりの可能性が広がると考えております。

景観形成と上位計画の関係について。区は基本構想において、景観やみどりに配慮された魅力あるまちにしていくことを明示しております。これを受け、新しい中野をつくる10か年計画や都市計画マスタープランでは、中野駅周辺や哲学堂公園・旧野方配水塔周辺などの景観形成について方向性を示しており、景観行政団体に移行することなく、これらに沿って施策を進めてきたところであります。今後は、景観の保全と観光拠点としてのにぎわいの創出を目指して、景観行政団体への移行を目指す中で、景観法が他の制度との親和性を特徴としていることを踏まえ、必要な取り組みを進める考えであります。

次に、西武新宿線連続立体交差事業に関連して、鉄道上部空間における景観施策について。鉄道上部空間を利用した東西交通ネットワークの形成や駅周辺のにぎわい空間の創出などの検討を想定しているところであります。この中で、沿線の公園や寺社等の緑との連続性など、まちの景観づくりについても、事業主体である東京都及び土地所有者である西武鉄道などと調整を図っていく予定であります。

河川沿いの景観について。神田川については、平成12年7月に景観基本軸として都により指定がされています。景観づくりの方針及び景観づくり基準が定められ、一定の規模以上の建築物の建築等に対する都への届け出制度による景観誘導が行われております。区は、神田川、妙正寺川も含め、河川沿いについては、都市計画マスタープランにおいて、水とみどりの親水軸として位置付けており、治水対策と調整を図りながら、河川管理通路や河川沿いの敷地、公園などと一体的にみどりの保全・育成を進め、水とみどりの連続空間を形成する考えであります。

閑静な住宅街に照明を多用した商業系の施設建設が計画された場合にどう対応ができるかといったような御質問もありました。建築関連法規にかかわる関与ということしか、現状のところなかなか難しいと考えております。そこでということですが、現在の状況では、直ちに景観施策上の対応をとるということは困難だと認識をしております。

今後の中野らしい景観づくりについて。これからのまちづくりは、中野ならではの魅力を生かした持続可能で活力ある地域の形成やそれに向けたまちの基盤整備、都市機能の充実が一層重要となります。そこで、単に規制を強化するのではなく、まちの活性化やにぎわい創出の一つのツールとして中野らしい景観行政、景観まちづくりを推進していきたい、こう考えているところであります。

次に、江古田合同住宅跡地整備についての御質問がありました。総合東京病院が実施する新棟での事業について。総合東京病院は、区との協定に基づき、病児・病後児保育を5月から、小児初期救急診療は6月から開始をしています。病児・病後児保育事業の新たな展開については、利用実態や需要動向を見きわめ対応を検討していくこととしております。利用者の声、利用実態の施策への反映についてであります。利用者の声や利用実態については、実施機関等を通じて把握に努めることとし、今後の施策を考える上では、これらの声を十分参考にしてまいりたいと考えております。また、小児初期救急医療の推進に係る関係機関の協議の場である小児初期救急医療事業推進協議会においても、事業の実施状況について情報共有を図ってまいります。

分譲マンション、賃貸マンション等の完成時期について。A街区の分譲マンションは、平成30年3月完成予定であります。また、C街区のファミリー向け賃貸住宅やサービスつき高齢者住宅等が入る建物については、平成30年3月に完成予定であると聞いているところであります。

C街区のコミュニティ関連施設の設置について。C街区に計画中のコミュニティ関連施設のうち、コンビニエンスストアは、建物完成後に内装工事等を行い、平成30年10月ごろにオープンする予定と聞いております。学童クラブや認可保育園については、完成時期等を含め、関係機関と調整を行っているところであります。

開発による人口増加に伴う地域防災体制について。本地区の開発事業に当たっては、区は計画段階から事業者であるUR都市機構に対し、江古田小学校から広域避難場所への避難路整備を含む地域の防災性向上、優良なファミリー世帯向け住居の確保、貴重な緑や地域コミュニティへの配慮等の要請を行ってまいりました。区の要請を受け、UR都市機構では避難路の整備を行い、またマンション居住者による自主防災組織の立ち上げや地元防災会、総合東京病院との連携など、自助・共助による防災活動に向け情報交換を行っていると聞いております。さらに、開発地区内では、災害時に強い中圧ガスの施設、太陽光発電、非常用発電機等のライフライン供給システム等の整備や防災井戸、マンホールトイレ、かまどベンチ及び防災備蓄倉庫の設置など、自主防災に向けた活動に資する施設整備等も充実させているところであります。

自転車駐車場及び放置自転車対策について。自転車駐車場への影響であります。開発によって新たに入居可能となる約1,100世帯のうち、通勤や通学で駅まで自転車を利用する可能性があるのは、分譲マンション及び子育て世帯向け賃貸マンションの合計794世帯で、利用する主な駅は都営大江戸線の新江古田駅と西武新宿線の沼袋駅と考えております。これまでもこの地区から自転車で新江古田駅まで行く人はあまり多くなかったことから、このマンション完成後も通勤や通学で駅まで自転車を利用する人はそれほど多くないと想定しており、新江古田自転車駐車場への影響はほとんどないものと考えております。沼袋駅については、周辺に区営自転車駐車場を3カ所整備しており、特に駅の北側に整備している沼袋地下自転車駐車場については、定期利用370台分の利用率は約75%となっており、十分に対応できる余力があると考えております。

放置自転車対策について。新江古田駅及び沼袋駅を含め、区内全ての鉄道駅周辺を自転車放置規制区域に指定しており、放置防止指導員による区域内の循環による放置防止指導及び放置自転車への警告札の貼付、そして放置自転車の即時撤去などの放置自転車対策を実施しております。分譲マンション及び賃貸マンションの完成後は、自転車駐車場の利用状況や放置自転車の状況を注視してまいりたいと考えております。

開発事業者と地元町会との協議への区の関与について。区では、開発計画の当初から住生活の基本に関する条例の趣旨にのっとり、良好な地域コミュニティ形成への寄与を開発事業者募集の条件とするようUR都市機構に対して求めてまいりました。その後、UR、開発事業者と地元町会・自治会との連絡調整や情報交換の場の設定などに適宜関与することで、共同住宅入居者の町会・自治会への加入促進に努めてきたところであります。

地元商店街や商店街振興との関係。江古田三丁目地区の開発事業により、地域には病院通院者のほかに1,000世帯以上の多様な世代の居住者が生活し、日常の買い物等の需要増加が予想されます。地元商店会としては、本開発事業を商店街活性化の好機ととらえ、UR都市機構、マンション事業者、地元町会等と情報交換を行っていると聞いているところであります。

私からは以上です。

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