次に3番目、新しい防災訓練の取り組みについてお聞きします。

阪神淡路大震災から22年、日本列島はその後も幾つもの大震災に見舞われ、不幸にも甚大な被害が出てきております。残念ながら地震を防ぐことはできませんし、予知もまだ難しい状況であります。それであれば、いつ起こるかわからない大地震に備えて少しでもその被害を少なくする減災を目指すことしかないと考えます。耐震化、不燃化、道路や空地や公園などの整備による延焼遮断帯の確保といった都市計画的なもの以外に、私たち住民ができることは備蓄と平時からの訓練、これに尽きると思います。

そこで、防災訓練について、区の現状と過去の災害からの教訓について、また新しい視点での防災訓練についてお聞きします。

まず、平成7年の阪神淡路大震災、また平成23年の東日本大震災、昨年の熊本地震、それぞれ多くの被害が発生しましたけれども、その教訓を中野区の防災力向上のためにどう生かしているのでしょうか。

また、中野区から業務支援のために職員を被災地自治体へ派遣していますが、その経験を中野区にどのように生かしているのでしょうか、確認をしたいと思います。

これまでの事例を見てみますと、復旧・復興に関して苦慮されているようでありますけれども、中野区ではどのように考えているのでしょうか。

昨年発災した熊本地震についてはまだ記憶に新しいところではありますけれども、阪神淡路大震災から22年、新潟中越地震からも13年、東日本大震災からは6年、大震災の経験や記憶、被災地での教訓が年ごとに薄れていくのではないか、今後の防災施策の課題であると考えます。万が一の震災に見舞われたとき、パニックにならず、冷静に対処できるようにするために平時からできる準備として、食料、飲料水の備蓄と防災訓練への参加は必須だと考えます。

そこでお聞きします。中野区の防災訓練や各防災会などで行われる防災訓練、どのような実施方法、訓練内容となっているのか押さえていきたいと思いますので、教えてください。

また、先ほど伺った中野区内で行われている防災訓練、平時からの防災への意識を持つことや地域防災リーダーを育成する取り組みにも有効に機能しているということで、その重要性については今さら申し上げるまでもありません。こうした防災訓練を通じて、どのような課題があると区の防災担当は考えているのでしょうか。

防災訓練を継続的に行う現在の取り組みは非常に有益と考えます。一方で、参加者が固定をしていて高齢化も進んでいるのではないか。また、メニューがマンネリ化しているのではないか。こうした不安を覚えます。ここで新しい防災訓練に取り組む事例を二つ紹介させていただきたいと思います。

一つは、サバイバル親子キャンプというものであります。昨年8月、中野四季の森公園及び当時拡張予定地にて100名近い多くの親子が参加して行われた訓練であります。テント泊での二日間で、火おこしや炊き出し、電気ステーション開設などさまざまな防災に関するワークショップや仮設トイレ、マンホールトイレの組み立て、AED体験、煙体験、起震車体験、さらに自衛隊の災害対応部隊の展示見学や警察犬訓練など中野区の防災担当はもちろん、野方警察、野方消防など防災関係諸官庁も参加しての内容の濃いメニューでありました。参加対象者を5歳以上13歳未満の子どもとその親というふうに絞ったこのイベントは、子どもたちや子育て世帯に災害時の過ごし方や避難生活など、非日常体験の中でサバイバルの知恵をつけようとした企画で、アンケートでは、「災害でないときにも必要に感じた」、「防災リュックを見直してみたい」、「いつ起こるかわからない災害に対応できる準備と訓練が大切」などと反応も非常によく、ことしもまた夏に開催に向けて企画が進んでいると聞いています。

そして次の防災、新しい訓練の事例としては、カエルキャラバンというものであります。カエルキャラバンというのは、子どもたちや若いファミリー層を対象に、地域の防災訓練プログラムと、かえっこバザールといって、おもちゃの交換会を組み合わせた防災イベントであります。1995年に発災した阪神淡路大震災の教訓が薄れていってしまうことに危機感を覚えた人たちが発災後10年目の2005年に立ち上げたプログラムで、阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓をもとに、ゲーム感覚、あるいは競技感覚で学ぶ防災プログラムを、おもちゃの物々交換プログラムかえっこバザールのシステムに組み込むことで、これまでなかなか防災訓練に参加しなかった子どもたちやその子どもたちを引率する親、子育て世代が積極的に参加するようになったということであります。

簡単に言いますと、遊ばなくなったおもちゃを持っていくと、そこでカエルポイントというポイントがもらえます。このポイントによって会場に集まったおもちゃと交換することができます。そして、このカエルポイントは防災訓練に参加してもポイントがもらえるということで、いいおもちゃをゲットすべく、子どもたちは次々に防災訓練に参加するというわけです。さらに、開催地に商店街があれば、その商店街の賛同が得られれば、イベント開催中、その商店街で買い物をすればさらにポイントがつくといった企画も考えられており、地域商店街の活性化にもつながります。運営スタッフは事前に講習を受けた地元、地域の人たちということで、当事者意識とテーマ性が確立され、それが災害時の地域の連帯にもつながるということになります。都内で最近開催されたものとしては、台東区の社会福祉協議会が主催するカエルキャラバン、また日本気象協会、UR主催で豊島区のサンシャインで開催されたカエルキャラバン、また荒川区の主催で、荒川区の総合防災訓練に採用し、区内の中学生がスタッフ役を担ったという事例もあるようであります。また、大企業では、東京ガスなどのインフラ企業も各地で開催しているようであります。

震災は、いつ起こるかわからない。即応体制が不可欠であるのと同時に、10年後、あるいは20年後、将来に備えた防災知識と対応スキルを伝えていかなければならないと思います。次世代を担う子どもたちに、こうした震災の教訓を伝えていかなければならない。そのためには子どもたちに防災知識、防災体験や被災した際の非日常の不自由な生活も体験してもらうなど、そうした工夫が必要ではないでしょうか。こうした日ごろの地域の防災訓練に参加していない子どもたちや子育て世代の参加が見込める防災訓練を推進してはいかがでしょうか。

お聞きします。次世代を担う子どもたちや子育て世代など、幅広い世代を参加させ、自助・共助の精神のもと、実災害への対応力を身につける必要がある、新しい防災訓練の取り組みや導入についてどのようにお考えでしょうか。

また、こうした新しい防災への取り組みは、単なるイベントではなく、日ごろより防災活動に取り組む行政と工夫・英知を駆使した民間との視点を切りかえた協働防災活動であると考えます。区は、こうした防災活動に共催者として積極的にかかわり、取り組み、そして区内に広く展開すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

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